【名探偵コナン】世紀末の魔術師のあらすじ・感想｜重厚で神秘的なストーリー、怪盗キッド劇場版初登場がとにかくカッコいい作品

コナン世代ドンピシャで今でも原作やアニメを追い続けている私。そんな私が劇場版コナンの中で最も愛してやまないのが「世紀末の魔術師」です。

当時はまだVHSの時代。風邪をひいて学校を休んだ時は必ずと言っていいほど見ていたのでリアルに「ビデオが擦り切れるほど」見ました。それくらい面白いし記憶に鮮明に残っています。

そこで今回は劇場版第3作目「世紀末の魔術師」のあらすじや古参目線での感想を語っていきたいと思います。

名探偵コナン劇場版第3作目「世紀末の魔術師」作品概要

• 公開日：1999年4月17日
• 興行収入：26億円
• 配給収入：14億5000万円
• 主題歌：B’z 「ONE」
• キャッチコピー：「世紀末最大の謎を解くのは誰だ!?」

名探偵コナン劇場版第3作目「世紀末の魔術師」あらすじ

歩美の自宅にて

ある夜、歩美が住む高層マンションのベランダに何者かが現れる。

「あなただれ？ドラキュラさん？」と問う歩美に対し、「いや、飛び続けるのに疲れて羽を休めていた、ただの魔法使いですよ…お嬢さん。」と言う怪盗キッド。

マンションの下には警察が駆けつけ、キッドを追う中森警部の姿が。しかし、キッドはハングライダーでベランダから遥か彼方へ飛び去って行くのでした。

翌日、怪盗キッドに会ったことをコナンたちに話す歩美。「まさに平成のアルセーヌ・ルパンですよね！」と光彦。

「で？平成のホームズさんはどうする気？」と灰原がコナンに問うと、「バーロ、いつか捕まえてやるに決まってんだろ！」とコナンがニヤリと微笑みオープニングへ。

鈴木財閥の「インペリアル・イースター・エッグ」を狙うキッド

ロマノフ王朝の遺産「インペリアル・イースター・エッグ」が鈴木財閥の蔵から発見された。警視庁には怪盗キッドからエッグを頂きに参上するという予告状が届き、緊急会議が開かれている真っ最中。

予告状には

このような内容が記されていた。

予告状にあるメモリーズ・エッグとは、今回キッドが狙っているエッグの事で、かつてロシア皇帝が作らせた51個目のエッグのことを指しているとのこと。

エッグは大阪にある鈴木財閥の美術館で展示されることになり、名探偵である小五郎にも捜査・護衛依頼がかかり、警視庁一同が厳戒態勢でエッグを守る運びとなる。

小五郎の付き添いでコナンや蘭も展示会場がある大阪へ向かう。すると、そこで平次と和葉と合流。

会長室に通されたコナンたち。そこにはキッド以外にエッグを所望する人物たちが集まっていた。

• セルゲイ・オフチンニコフ（ロシア大使館一等書記官）
• 乾将一（美術商）
• 浦思青蘭（ロマノフ王朝研究家）
• 寒川竜（映像作家）

先に要件を済ませた4人を退室させた鈴木会長は、改めてコナンたちにエッグに見せた。

エッグの内部にはロシア皇帝・ニコライ2世とその家族が本を見ている細工が施されていたが、それ以外に変わった仕掛けは見当たらなかった。

コナンはビッグ・ジュエルと呼ばれる大宝石専門の泥棒であるキッドがエッグを狙う理由が見いだせないままでいた。

小五郎の推理を踏まえた警察は、キッドが午前3時に大阪城の天守閣で姿を現わすと考え、二手に分かれて待機する。中森警部は人気のない雑居ビルの一室にて待機。

一方コナンは夜の大阪を平次と観光中、暗号の解読に成功。

予告状1行目の12文字目「へ」が午後7時20分を意味すると知ったコナンは、光の天気予報を意味する通天閣へ急ぐ。

キッドの狙いは大阪の街中を停電させ、病院などの施設以外で素早く非常電源を起動した建物内で警察はエッグを守っているというもの。キッドの狙い通り、中森警部は少数精鋭でエッグを守っていたため催眠ガスでいとも簡単に眠らされてしまう。

キッドを発見したコナンと平次は後を追うも、交通事故によって平次は離脱。コナンはその後もキッドを追うも見失ってしまった。

一方、キッドはハングライダーで逃走中、ビルの屋上から何者かに右目を狙撃されて海に墜落してしまう。

コナンはキッドらしき人物が上空から落下するのを目撃、現場に到着後、エッグを取り戻せた。しかし、現場でキッドのモノクルを発見し、キッドが生きているかどうか、そして誰がキッドを撃ったのかは分からないままでいた。

船上での事件

エッグに傷がないか調べるため、鈴木財閥の船で東京へ向かう一行。

客船にはエッグの最初の所有者だった香坂家の令嬢・香坂夏美も同乗し、曾祖父から受け継いできた記憶をたどる。その話の中で、エッグはもう一つ存在することが判明。

さらに、コナンがエッグの底を触っていると小さなガラスが外れてしまう。コナンは宝石ではなくただのガラスであることにそ疑問を感じ、壁にガラスを向けると、光に照らされ城を映し始めた。何かを伝えるために「魔境」と呼ばれる手法でガラスに城が刻まれていた様子。

この城が横須賀市にある香坂家の城であることが判明し、一行は横須賀へ向かうことに。

しかしその夜、客船では何者かに映像作家の寒川が右目を撃ち抜かれ殺される事件が発生した。事件を聞きつけ目暮警部、白鳥刑事、高木刑事らが客船に到着する。

コナンはキッドを狙った犯人と同様に右目を打ち抜いているという共通点を電話で阿笠博士に伝え、犯人が右目を狙う国際的な窃盗犯「スコーピオン」であることが分かった。

スコーピオンがエッグを狙っていることが分かり、白鳥刑事も同行して一行は横須賀の城に向かう。

メモリーズ・エッグの秘密とは

横須賀の城に到着した一行。そしてコナンの抜け駆けを許さない少年探偵団も阿笠博士の車で到着した。

城にはエッグを設計したロマノフ王朝の細工職人である、夏美の祖父・香坂喜一の手によって様々な仕掛けが施されており、コナンたちは捜査の末、地下室への隠し扉を見つける。

地下室へのパスワードは香坂夏美が幼少期から聞かされていた「バルシェ、肉買ったべか」ではないかとコナンは考えたコナンは、セルゲイにロシア語で近い言葉はないか尋ねる。

そして、「バルシェ、肉買ったべか」の本当の意味が

さらにこれを英語に直すと

さらにこれを日本語に直すと

になることが判明。地下室へのパスワードでもあり、映画のタイトルでもあるという気持ちよすぎる伏線の回収。

そして地下室へと進んだ一行は、光度計による仕掛けを見抜きながら進んでいき、ついに最深部へとたどり着く。

最深部に安置されていた棺を開けると、中には遺骨ともう1つのエッグが。遺体は貴一の妻であり、夏美の祖母のものだった。

そして52個目のエッグを51個目のエッグにはめ込み、傍にあった台座に置いて懐中電灯で光を差した途端、エッグの仕掛けが作動。

ねじを手動で回さないと動かなかったエッグの中の仕掛けが自動で動き出し、部屋の天井にはロマノフ王朝ニコライ皇帝一家が写真を眺めている姿が映し出された。

これが「メモリーズ・エッグ」と呼ばれる所以だったのだと全ての謎が解き明かされる。

スコーピオンの正体とは

エッグの秘密が明かされて感嘆の声をあげる一同。しかしその時、スコーピオンが暗闇の中で小五郎を狙う。さらに蘭までも。

コナンの呼びかけによって2人はなんとか無事だったが、スコーピオンはエッグを持ち去って逃亡。それを追うコナンは、道中で射殺された乾の遺体を発見する。

スコーピオンは地下室への隠し扉から地上に出た後、地下室への扉を閉めて城に火を放った。

コナンは地下から地上へ出るための隠しボタンを発見し、何とか地上へと戻るも城は炎に包まれていた。

そしてコナンはスコーピオン…その正体であるロマノフ王朝研究家の浦思青蘭を推理で追い詰める。

彼女は怪僧で知られるグリゴリー・ラスプーチンの子孫のロシア人だった。ロマノフ王朝に由来する財宝全てを、先祖に代わり手に入れるのが彼女の目的。

蝶ネクタイ型変声機でスコーピオンを錯乱させたのち、正体を現したコナンをスコーピオンは銃で狙います。

そして最後の1発をコナンの右目に打ち込むスコーピオン。

「じゃあ撃てよ。本当に弾が残ってんならな。」

「ばかな、ぼうや」

しかし、阿笠博士に頼み硬質性のレンズになっていた眼鏡は銃弾を弾き飛ばします。その隙にコナンはスコーピオンに落ちていた鎧を蹴りこみ気絶させます。

「あいにくだったなスコーピオン。このメガネは博士に頼んで特別製の硬質ガラスに変えてあったんだ。」

現場に駆け付けた白鳥刑事に彼女運んでもらい、コナンは城を脱出。他の皆も少年探偵団が入ってきた別ルートから脱出しており、外で合流する。

クライマックス

場面は事件解決後の探偵事務所に。

コナンの正体が新一であることを問い詰める蘭。絶体絶命のコナンは観念して全てを話そうとする。

「あの時のコナンくんかっこよかったよ。まるで新一みたいで。」「でも別人なんでしょ？そうなんでしょ、コナンくん？」

「限界だな…」

しかしその瞬間、2人の前に工藤新一が現れた。

雨でずぶ濡れの新一にタオルを取りに行った蘭をよそに、コナンと新一は外で話をする。

新一の正体は怪盗キッドだった。さらに、キッドは白鳥刑事に扮してコナンたちに同行していたのだった。

キッドの目的はエッグを本来の持ち主へと返すこと。

さらに2人は事件の真実…洞窟に眠るロシア人女性がニコライ2世の娘・マリアで貴一と結婚して日本に渡ったこと。香坂夏美の曾祖父が「世紀末の魔術師」と呼ばれていたことなどを語り合った。

そして最後にキッドはコナンに問う。

「じゃあこの謎は解けるかな名探偵。なぜ俺が工藤新一の姿で現れ、やっかいな敵である君を助けたか」

「んなもん謎でもなんでもねえよ。お前がおれを助けたのはこいつを手当てしたお礼だろ」

以上が、世紀末の魔術師のあらすじと結末です。

名探偵コナン劇場版第3作目「世紀末の魔術師」感想

名探偵コナン劇場版の第3作目「世紀末の魔術師」

個人的にコナンの映画の中で1番好きな作品なので語りだしたら私見を挟みまくってしまいます。

なぜ気に入っているのかというと、やはり映画初出演のキッドがカッコいいことは当たり前なのですが、それ以上に練りこまれたストーリーが魅力だと思います。

ニコライ皇帝一家の課税図や歴史背景、ラスプーチンやその子孫という設定、さらにメモリーズエッグの謎はどれも設定が練りこまれているなぁという印象。

城の地下室へ続く隠し扉のパスワードが、最終的に日本語に訳すと「世紀末の魔術師」になるところなんか何回見ても痺れます。

コナン映画にありがちな「事件→爆破」という流れに頼らず、謎解きだけでここまで濃いストーリーなのは歴代映画でもこの作品だけなのではないでしょうか（超私見入ってます）

とはいえ、かなり昔の作品なので、昔見た方だけでなく、まだ見たことがない方にも1度は見てほしい作品です。